【2026年 “新”審査基準案】 世帯年収・年金・補填資産の最新審査基準を徹底解説

永住者の在留資格は、外国人が日本で生涯にわたり生活の本拠を置くことを前提とした、最も安定した在留資格です。
2026年8月4日に公表された「永住許可に関するガイドライン改定案に係る意見募集について」では、永住許可の審査において考慮される要素が詳細に示されており、申請者が満たすべき点が明確化されています。
本記事では、このガイドラインの要点を詳細に説明します。

1. 永住許可審査の焦点は「日本国の利益」

永住許可は、単に問題がないというだけでなく、積極的に日本国の利益に合致するかが判断基準となります。
審査では、以下のような幅広い観点が総合的に考慮されます。

  • 日本語能力
  • 在日経歴・行状
  • 日本人口の動向
  • 産業界の人材需要
  • 家族単位での在留の安定
  • 日本社会への影響

2. 永住許可の3つの法定要件(法22条2項)

永住許可には、次の3要件をすべて満たす必要があります。

3. 素行善良要件

法律を遵守し、社会的に非難される行為がないことが求められます。
違法行為や迷惑行為の繰り返し、過去の違反歴も消極評価となります。

4. 独立生計要件(今回の大きな改訂)

永住許可の審査では、申請者が「公共の負担となるおそれがなく、将来にわたり安定した生活を営めるか」が厳格に判断されます。
そのため、世帯年収、年金加入状況、将来の受給見込額、補填資産の4要素が極めて重要となります。

(A)世帯年収の評価

1. 審査は「同一生計世帯単位」で行われる

永住審査では、申請者本人の収入だけでなく、住居と家計を共にする者全員の収入を合算した「世帯年収」で判断します。

  • 単身の場合:本人の年収がそのまま世帯年収となります。
  • 配偶者・子と同居の場合:全員の収入を合算します。
  • 親族を扶養している場合:海外在住であっても「世帯人数」に加算されます。

この「世帯年収」が、世帯人数別に設定された日本人世帯の平均収入(年収水準)を継続して上回っている必要があります。

2. 年収水準を継続して上回ることが必須

ガイドラインは「申請時点だけでなく、継続して達しているか」を重視します。
つまり、一時的に高年収であっても、継続性がなければ評価されません。

3. 世帯年収に合算できない収入

以下の収入は、世帯年収に含めることができません。

  • 家族滞在など「就労資格ではない在留資格」を持つ家族の収入
  • 資格外活動許可によるアルバイト収入(例外的・限定的な収入であり、永住審査では合算不可)
  • 成人して扶養から外れている子の収入(同居していても、扶養関係がない場合は合算不可)
4. 扶養親族の扱い

申請者が扶養する親族は、海外在住であっても「世帯人数」に加算される点が非常に重要です。
世帯人数が増えるほど、必要な年収水準も上昇します。

世帯人数が5人以上の場合、生活費増加分が年収水準に加算されて判断されます。
つまり、世帯人数が多いほど、求められる年収は高くなります。

(B)年金加入状況・受給見込額の評価

永住審査では、年金の評価が「収入と同等レベル」で重視されます。
これは、永住者が生涯にわたり日本で生活することを前提としており、老後の生活基盤の安定が重要視されるためです。

1. 評価対象となる年金情報

以下のすべてが審査の対象となります。

  • 過去の年金加入状況(加入期間、加入していた制度(国民年金・厚生年金)、過去の平均年収、自営業か会社員か)
  • 現在の年収から推計される「将来の受給見込額」

つまり、年金は「過去・現在・将来」を総合的に評価されます。

2. 基準となる「受給年金水準」

永住審査では、以下の基準が設定されています。
日本人世帯の平均収入を上回る年収水準で30年間厚生年金に加入した場合の受給見込額。
これが「受給年金水準」と呼ばれ、申請者の将来の年金受給見込額がこの基準に達しているかどうかが判断されます。

3. 受給見込額が不足する場合、「補填資産」で補うことが可能

受給見込額が基準に満たなくても、不足分を補える金融資産(補填資産)があれば、基準達成とみなされます。
補填資産とは、老後の生活資金を補うための資産で、預貯金や投資資産などが該当します。

4. 補填資産の必要額は年齢によって変動します

補填資産の基準額は、申請者の年齢によって変わります。

  • 若年者層(20〜30代):今後の資産形成期間が長いため、必要な補填資産額は低く設定されます。
  • 中年齢者(40〜50代):老後が近いため、必要な補填資産額は高く設定されます。

つまり、年齢が高いほど補填資産の要求額が増える仕組みです。

5. 配偶者がいる場合の評価
  • 受給見込額は夫婦合算で判断されます。申請者と配偶者の受給見込額を合算し、夫婦全体として受給年金水準を満たしているかを評価します。
  • 受給年金水準も夫婦版に調整されます。配偶者が申請者と同期間、国民年金の第3号被保険者(専業主婦など)であった場合に受給できる年金見込額を加算して基準額を設定します。
    つまり、夫婦の生活実態に合わせて基準額そのものが増える仕組みです。
  • 補填資産も夫婦合算で評価されます。補填資産は夫婦の総資産で判断されます。
    これらの夫婦合算による受給見込額、受給年金水準、および補填資産を総合して、老後の生活が安定しているかを判断します。

5. 国益要件

永住審査においては、「日本国に積極的な利益をもたらすか」も重要なポイントです。

主な評価ポイントは以下のとおりです。

  • 法令上の義務の遵守(住居地届出、在留カード携帯、資格外活動禁止など)
  • 税金・社会保険料の適切な納付
  • 刑罰法令違反の有無
  • 上陸拒否事由への非該当
  • 現行在留資格の上陸許可基準への適合
  • 在留期間(原則10年以上)
  • 申請から過去10年の間に、合理的な理由なく6か月以上の長期出国、または合計2年6か月以上日本を離れていたことの有無
  • 公共の負担となっていないこと
  • 日本語能力(原則B1以上)
  • 日本の制度・ルールの理解
  • 学齢期の子の就学状況
  • 経済・文化・地域社会への貢献

まとめ

永住許可は、素行善良、独立生計、国益の3要件を満たし、かつ日本に具体的な利益をもたらす外国人に付与される在留資格です。
特に今回の変更点は以下の3点です。

  • 世帯年収が日本人世帯の平均収入以上で継続していること
  • 年金の受給見込額が基準に達すること(不足分は補填資産で補填可能)
  • 原則B1以上の日本語能力を有していること

永住許可申請を検討されている方は、これらの要件を事前に確認し、計画的に準備を進めることが重要です。

この記事の執筆・監修者

行政書士 藤澤 信
特定行政書士・申請取次行政書士
日本行政書士会連合会所属
登録番号:第22091831号

本記事は、永住権申請を専門とする行政書士が、最新の法令・審査運用および実務経験に基づいて執筆・監修しています。

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