入管の永住許可手数料が大幅アップ!
在留資格手数料の見直しと永住申請への影響
在留資格に関する手数料は、2025年4月にすでに一度引き上げが行われましたが、2026年3月10日、政府は入管難民法等の改正案を閣議決定し、在留資格に関する各種手続きの手数料上限額を大幅に見直す方針を示しました。
今回の見直しは、外国人本人だけでなく、外国籍人材を雇用する企業にとっても直接的な影響を及ぼすことが予想されます。特に、永住許可や在留資格の更新・変更にかかる費用が、これまでとは比較にならない水準に引き上げられる可能性があり、実務上の大きな転換点となります。
このコラムでは、現在報道されている内容を整理し、今後永住申請を検討している方がどのような準備を進めるべきかについて、分かりやすく解説します。
1. 今回の改正で何が変わるのか(手数料上限額の大幅引き上げ)
今回の改正案の中心となるのは、在留手続きに関する手数料の「法律上の上限額」が大きく引き上げられる点です。
現行の手数料
- 在留資格更新:6,000円
- 在留資格変更:6,000円
- 永住許可:10,000円
改正後に予定されている「法律上の上限額」
- 在留資格更新:100,000円
- 在留資格変更:100,000円
- 永住許可:300,000円
「永住申請の手数料が30万円になるのでは」と不安に感じる方も少なくありませんが、法律で定められているのはあくまで上限額であり、実際に窓口で支払う具体的な金額は、今後政令によって決定されます。
もっとも、仮に実際の手数料が上限に近い水準で設定された場合、現在の数倍から十倍以上の負担増となる可能性があり、外国人本人だけでなく、企業にとっても大きなコスト増となることが見込まれます。
2. なぜここまで大きな見直しが行われるのか
今回の費用見直しには、いくつかの背景があります。
2-1. 国際的な水準と比較した場合の日本の手数料の低さ
- 欧米諸国の手数料は、日本と比べて数倍から数十倍に達しているケースもあります。
- 例えば、イギリスで永住許可を取得する際の手数料は大人1人あたり£2,885、日本人がオランダで永住許可を取得する場合は€254、アメリカでは約$1,500とされています。
2-2. 在留外国人の増加に伴う行政コストの上昇
- 2025年末時点の在留外国人数は約413万人となり、過去最多を更新しています。
- 今後、行政コストや日本語教育支援、生活支援など、外国人受け入れ環境の整備にかかる費用は、税金ではなく手数料収入によって賄う方針が示されています。
2-3. 外国人共生施策の財源確保
手数料の増収分は、主に外国人に関する各種施策の財源として充てられる予定ですが、一部は他の政策分野にも振り分けられる見込みです。
3. 企業が備えるべき実務対応(コスト増への対策)
手数料の大幅な引き上げは、外国人材を雇用する企業にとっても看過できない負担となります。特に、特定技能や「技術・人文知識・国際業務」などの在留資格を持つ社員が多い企業では、更新や変更の回数が増えるほど、手数料負担が累積していきます。
そのため、今後のコスト増を見据えた社内ルールや運用スキームを早期に構築しておくことが重要です。
4. 費用面から見た永住権取得のメリット
今回の改正により、在留資格の更新に関する手数料の法律上の上限額は10万円とされています。仮にこの水準に近い金額で設定され、5回更新を行った場合、最大で50万円の更新費用が発生する可能性があります。
一方で、永住権を取得すると在留期限がなくなるため、更新のたびに手数料を支払う必要がなくなり、長期的には大きな負担軽減につながります。
5. 負担軽減措置の対象範囲
経済的な事情などにより手数料の負担が大きい方に対しては、手数料を軽くするための制度が導入される見込みです。
ただし、永住申請に関してこのような負担軽減の対象となるのは、日本人や永住者の配偶者および子どもなどに限定されており、対象範囲は決して広くありません。
6. 外国人本人が今からできる対策
在留期間が1年の方は、できるだけ早い段階で長期の在留期間を取得し、そのうえで永住許可申請を目指すことが重要になります。
長期の在留期間を得るために重要となるポイント
- 安定した収入があること
- 納税や社会保険料の滞納・支払い遅延がないこと
- 素行が善良であること(入管難民法違反や犯罪歴がなく、軽微な交通違反も少ないこと)
- 転職や引越しの際に、必要な届出を期限内に提出していること
- 母国にいる扶養家族の人数が極端に多くないこと
- 地域のイベントやボランティア活動など、コミュニティへの参加実績があること
- 国家資格や日本語能力試験の合格証など、高度人材ポイントにカウントされる資料を整えていること
これらの条件を整えることで、5年の在留期間が認められる可能性が高まり、その後の永住許可申請にもつながりやすくなります。
また、手数料の引き上げ前に更新や申請のタイミングを調整できるかどうかによって、将来的な負担額が大きく変わる可能性があるため、早めの行動が重要です。
7. まとめ
2026年3月10日に閣議決定された入管難民法改正案により、永住許可申請にかかる手数料の法律上の上限額を大幅に引き上げる方針が示されました。現行の永住許可手数料は1万円ですが、改正後は上限額が30万円とされる見込みです。
永住権の取得を目指している方にとっては、今後の手数料水準や制度変更の動向を踏まえつつ、できるだけ早い段階で永住許可申請を検討することが望ましいと言えます。
