永住権申請中の転職は大丈夫?審査への影響と注意点

永住許可申請は、申請者の生活基盤や在留状況の安定性を基に審査が行われるため、申請中に転職を行うことは慎重な対応が求められます。
このコラムでは、永住許可申請中の転職がおよぼすリスクと影響、リスクを軽減するための具体的なポイント、さらに転職時に必要な重要な手続きについて解説します。

転職が永住許可申請におよぼす影響

経済的安定性への影響

転職により収入や雇用形態が変化すると、経済的な安定性が損なわれるリスクがあります。
特に、試用期間中や契約社員としての雇用は「長期的な安定性に欠け、独立の生計ができないる」と判断される場合があります。このため、転職先の収入や雇用条件を慎重に吟味することが重要です。

在留資格との整合性の問題

多くの申請者は「技術・人文知識・国際業務」や「高度専門職」などの在留資格を保持して働いていますが、転職後の業務内容が現行の在留資格と異なる場合は資格変更が必要です。この手続きを怠ると、不法就労とみなされる可能性があます。

高度専門職ポイントの変動リスク

高度専門職の資格で申請している場合、転職によりポイント計算表のポイントが申請当初の70点または80点を下回ると申請が不許可になるリスクがあります。特に年収減少や業務内容の変更がポイントに影響をおよぼすことがあるため、事前に転職先の条件やオファーを精査する必要があります。

転職時に考慮すべき重要なポイント

タイミングの選定

最もリスクが低いのは永住許可が正式に下りた後の転職です。許可が下りた後は在留資格に縛られることなく自由に就業できます。一方、申請中の転職は審査遅延を招く可能性があるため、入国管理局への迅速な状況報告をしなければなりません。

転職先の業務内容と在留資格の適合性

転職先の業務が現行資格に適合していることを確認し、必要に応じて資格変更手続きを行うことでリスクを軽減できます。

収入の安定性の確保

転職により収入が減少すると経済的要件を満たしていないと評価されることがあります。転職後の給与が現行と同等以上であることを確保し、必要な収入証明を準備しておくことが重要です。

転職時に必ず行うべき2つの手続き

入国管理局への届け出

転職後14日以内に入国管理局に届け出を行うことが義務付けられています。この届け出を怠ると素行が善良でないとみなされ、最大20万円の罰金やビザ更新時の不利な評価を受けるリスクがあります。オンラインでの申請も可能で、迅速に手続きを行うことが求められます。

就労資格証明書の取得

転職後の業務も現在保有している在留資格に適合していることを確認するための証明です。これを取得することで、転職後も適正な仕事を行っていることを証明できます。この証明書を取得しない場合は、不許可のリスクが高まります。

転職後の注意事項

必要書類の提出
転職後の雇用契約書や給与明細などを速やかに入国管理局へ提出し、変更状況を報告します。

社会保険や税金の未納防止
転職時に社会保険や税金の支払いが遅延したり未払いになったりすると、経済的安定性が低く、日本国の利益に貢献できないとみなされ不許可になる可能性があります。

まとめ

永住許可申請中の転職は、慎重な対応が必要です。転職により収入が減ったり、雇用形態が変わると、経済的安定性が損なわれると判断されることがあります。また、転職先の仕事内容が現在の在留資格と合わない場合、資格変更手続きをしないと不法就労とみなされるリスクがあります。

また、「高度専門職」で永住申請をしている場合は、転職によって年収や業務内容が変わり、ポイント表の点数が基準を下回る可能性があります。
ただし、適切な準備と計画を確実に行うことでリスクは軽減できます。不安がある場合は行政書士の永住申請サポートを活用するのもよいでしょう。