日本の永住権取得は本当に難しい?成功の秘訣を公開!

目次

日本での永住を希望する外国人にとって、永住権取得は大きな目標の一つです。しかし、日本の永住権許可率は約50%で推移しており、簡単に達成できるものではありません。その背景には、厳しい条件や複雑な申請手続きといったさまざまな障壁が存在します。

永住申請が不許可となる理由にはいくつかの共通点があります。必要な条件を満たしていなかったり、書類に不備がある場合に不許可となるケースが多いです。しかし、条件を満たし、適切に対応し、十分な書類を準備した上で申請を行えば、高確率で永住権を取得することが可能です。

本コラムでは、不許可となる主な原因や永住権を取得するための適切な方法について詳しく解説します。

法律上の要件

以下は、出入国在留管理庁が公表している法律上の要件です。

1.素行が善良であること

法律の遵守

・法律を守り、社会的に非難されることのない生活を送ることが求められます。

社会的適応

・日常生活での行動が社会的に非難されず、地域社会の一員として問題のない生活をしていることが重要です。

2.独立の生計を営むに足りる資産または技能を有すること

経済的自立

・公共の負担をかけることなく、生活に必要な資産や技能を持ち、将来的にも安定した生活を送れることが求められます。

安定した生活

・収入や技能が十分で、自己または家族を支えることができる経済基盤が必要です。

3.その者の永住が日本国の利益に合すると認められること

継続的在留

・原則として10年以上日本に住んでいる必要があります。また、そのうち5年以上は就労資格(技能実習や特定技能1号を除く)または居住資格で連続して滞在していることが要求されます。

法律違反がないこと

・罰金刑や懲役刑を受けていないことが重要です。また、納税や公的年金、公的医療保険の保険料などの公的義務を遅滞なく履行している必要があります。

在留資格の要件を満たしていること

・現在の在留資格で、最長滞在期間を満たしていること(3年以上でも構いません)。

公衆衛生上のリスクがないこと

・健康状態が良好であり、公衆衛生上のリスクがないことが求められます。

【例外】

配偶者や子供の場合

・日本人、永住者、または特別永住者の配偶者や子供である場合、素行の良さや経済的自立の条件は不要です。

難民認定者の場合

・難民認定を受けた者、補完的保護対象者の認定を受けた者、または第三国定住難民の場合、経済的自立の条件は不要です。

日本の永住権取得が難しい理由

日本の永住権の取得が難しい理由は、主に次の2つです。

・「要件自体を満たすことが難しい」

・「申請書類やその証明資料をそろえることが難しい」

以下に、それぞれの詳細を説明します。

「要件を満たすのが難しい」とは

要件は、申請人の状況に応じて異なります。具体的には以下のような場合があります。

1.日本人の配偶者、永住者の配偶者、特別永住者の配偶者またはその実子である場合

2.「定住者」の在留資格を持つ場合

3.就労関係の在留資格や「家族滞在」の在留資格を持つ場合

4.「高度人材外国人」として永住許可申請を行う場合

ここでは、就労関係の在留資格を持つ方が申請するための要件について説明します。
以下の要件を満たしていない場合、永住権は許可されません。

1.継続的な在留

・日本に連続して10年以上住んでおり、そのうち5年以上は「技術・人文知識・国際業務」や「日本人の配偶者」などの在留資格で滞在していること。

2.在留期間の条件

・現在の在留資格で「3年」または「5年」の在留期間が決定されていること。

3.年収の要件

・年収が300万円以上であること。扶養人数が増えるごとに、一人につき年収に70万円を加算する必要があります。

4.住民税の納付

・直近5年間、住民税を期限内に納めていること。

5.国税の納付

・国税に未納がないこと。

6.年金保険料の納付

・直近2年間、年金保険料を期限内に納めていること。

7.健康保険の納付

・直近2年間、健康保険料を期限内に納めていること。

8.犯罪歴の有無

・過去に日本の法律に違反して罰金刑、懲役刑、禁固刑を受けたことがないこと。

9.交通違反

・軽微な交通違反を頻繁に起こしていないこと。

10.配偶者の資格外活動

・配偶者が在留資格に違反する活動をしていないこと。

11.海外出国の制限

・90日以上連続で日本を離れていないこと、または年間で100日以上出国していないこと。

12.公衆衛生上のリスク

・感染症にかかっていないことや、公衆衛生上のリスクがないこと。

13.身元保証人の適正

・信頼できる身元保証人がいること。

「申請書類やその証明資料をそろえることが難しい」とは

日本の永住権取得が難しいもう一つの理由は、申請書や書類の準備が非常に大変である点です。
永住申請には、永住許可申請書や申請理由書をはじめ、多くの書類を日本語で作成し、日本語訳を添付する必要があります。また、すべての書類内容に矛盾がなく、一貫性が求められます。

説明すべき点や不利な点、誤解を生む点を考慮しながら書類を作成する必要があります。さらに、必須書類以外の提出が有利になる場合もあります。
以下は、就労関係の在留資格を持つ方が永住許可申請を行う際に必要な申請書類の例です。

1.永住許可申請書

2.写真

3.理由書

4.住民票

5.在職証明書や確定申告書のコピーなどの職業を証明する資料

6.納税証明書や課税証明書などの所得及び納税状況を証明する資料

7.公的年金及び公的医療保険の保険料の納付状況を証明する資料

8.預貯金通帳のコピーなど資産を証明する資料

9.パスポート

10.在留カード

11.身元保証書および身元保証人の運転免許証のコピー

12.了解書

13.提出書類チェックシート

上記の資料以外にも、日本への貢献に係る資料や勤務先からの推薦状なども提出すると効果的です。

永住権の申請方法

STEP1: 情報収集

永住権の申請に必要な要件や申請書類の情報をインターネットやSNSで収集します。

STEP2: 書類の作成と資料の収集

永住許可申請書や理由書を作成し、申請に必要な書類を集めます。

STEP3: 申請

居住地を管轄する入国管理局を訪れ、申請書類を提出します。

STEP4: 審査

審査期間中に、入国管理局から追加資料の提出を求められることがあります。

STEP5: 結果通知

結果通知が郵送されます。

永住権申請の審査期間

永住申請の審査期間は、入国管理局の公表では約4か月とされていますが、2024年12月現在、東京や横浜では、実際は1年4か月ほどかかると言われています。ただし、入国管理局では申請時に振り分けをしており、適切な資料を提出することで期間は短縮されると思われます。実際、担当行政書士が取り扱った案件では5か月8日で許可が下りました。

永住申請が不許可になった場合の対応

不許可になった場合でも、再申請は可能です。以下は再申請の手順です。

1.申請先の入国管理局に行き、不許可の理由を審査官から聞きます。

2.不許可の理由を克服した書類を再度作成し、証拠資料を入手します。

3.入国管理局に再申請を行います。

よくある質問

Q1
「永住者」とはどのような在留資格ですか?帰化とはどのように異なるのですか?

A「永住者」は、日本の入管法に基づく在留資格の一つです。永住者は他の在留資格と異なり、活動や在留期間に制限がありません。そのため、永住者は在留期間の更新手続きを行う必要がなくなりますが、在留資格の取り消しや退去強制の対象となることがあります。
一方、帰化は外国人が日本国籍を取得することであり、法務大臣の許可が必要です。帰化した場合、入管法による在留管理の対象から外れます。

Q2
現行入管法上、永住許可を受けるためには、どのような要件が必要ですか?

A永住許可を受けるためには、以下の条件を満たす必要があります:
1.素行が善良であること – 社会的に非難されることのない生活を送ること。
2.独立の生計を営む資産や技能を有すること – 公共の負担にならず、安定した生活ができること。
3.その者の永住が日本の利益に合すると認められること – 日本社会に貢献できること。

Q3
「永住者」の在留資格が取り消されるのは、どのような場合ですか?

A永住者は在留期間の更新手続きを行う必要はありませんが、在留カードの有効期間の更新申請や住居地の届け出などの義務を守らなければなりません。新しい住居地を届け出なかったり、虚偽の住居地を届け出た場合、または不正な手段で永住許可を受けた場合、永住ビザは取り消されることがあります。また、1年以上の実刑判決を受けたり、薬物関連の犯罪で有罪となった場合も、退去強制の対象となります。

Q4
現行の永住許可制度には、どのような問題が生じているのですか?

A日本に在留する外国人も社会の一員として最低限のルールを守る必要があります。しかし、永住者は在留期間の更新手続きがないため、一時的に納税などの公的義務を果たしても、許可後にそれを守らない場合があります。このような状況を放置すると、公的義務を適切に履行している他の永住者や地域住民との間で不公平感が生じます。そのため、入国管理局では永住許可制度の適正化を図り、適切な管理を行っています。

Q5
「永住者」となった後なら、たとえその要件を満たさなくなった場合でも、「永住者」の在留資格を認め続けるべきではないですか?

A永住許可を受けるための条件には、日本国の利益に合致することや納税などの公的義務を適切に履行することが含まれます。永住者の活動や在留期間に制限がないのは、許可後もこれらの条件を満たし続けることが前提だからです。このため、許可後に故意に公的義務を果たさないなど、要件を満たさなくなった場合に、入国管理局では「永住者」の在留資格を認め続けることは適当ではないとしています。

※出入国在留管理庁のサイトに掲載されている「永住許可制度の適正化Q&A」をもとに、当行政書士事務所で編集しました。

まとめ

日本での永住を希望する外国人にとって、永住権の取得は大きな目標ですが、日本の永住権許可率は約50%であり、簡単には達成できません。その背景には、厳しい条件や複雑な申請手続きが存在します。

永住申請が不許可となる理由には、必要な条件を満たしていなかったり、書類に不備があることが多いです。しかし、条件を満たし、適切に対応し、十分な書類を準備すれば、高確率で永住権を取得することが可能です。