在留カードとマイナンバーカードの統合|有効期限や取得手続ガイド

目次

2024年6月に公布された「出入国管理及び難民認定法等の一部を改正する法律」により、今後、日本に滞在する外国人が所持する「在留カード」と「マイナンバーカード」が統合され、「特定在留カード」として一体化されることが決まりました。ただし、この新しい統合カードの取得はすべての在留外国人に対して強制ではなく、希望者に対して発行される任意の制度となります。

この改正法は、公布日である令和6年(2024年)6月21日から起算して2年以内に施行される予定ですが、現時点(2025年4月現在)では具体的な日付は未定です。

在留カードとマイナンバーカード一体化の背景

現在、日本に在留する外国人の多くは「在留カード」と「マイナンバーカード」を所持しています。しかし、在留カードは地方出入国在留管理局で発行され、マイナンバーカードは市区町村窓口で手続きが行われるため、外国人と行政の両方にとって、手続きが煩雑であるという課題が存在しました。

このような背景から、「出入国管理及び難民認定法等の一部を改正する法律」により、両カードを一体化し「特定在留カード等」として運用できる制度が導入されました。

今後は、マイナンバーカードと在留カード、保険証などの統合により、外国人も一枚のカードで生活に必要な機能を集約できる見通しです。
また、マイナンバーカード自体も、今後利活用の幅を広げる取り組みが進められています。最近では、運転免許証や診察券とも一体化がされました。さらに、スマートフォンへの機能搭載も進められており、Androidに続いてiPhone対応も予定されています。

特定在留カードとは

「特定在留カード」とは、現行の在留カードにマイナンバーカードとしての機能を付加されたカードを指します。
これらのカードは法的にマイナンバーカードとみなされ、在留カードとマイナンバーカードの両方の役割を1枚で担うことが可能になります。すなわち、本人確認や在留資格の証明に加え、社会保障、税、災害対策分野などで用いられるマイナンバー制度の機能も1枚のカードで利用できるようになります。

一方、特別永住者については、これまで「特別永住者証明書」が在留カードに相当する役割を果たしていましたが、今回の一体化により「特定特別永住者証明書」という名称で、マイナンバーカード機能が統合された新たな証明書が交付されることになります。

特定在留カードの交付申請が可能な対象者

特定在留カードまたは特定特別永住者証明書の交付を申請できるのは、住民基本台帳に記録されている外国人のうち、中長期在留者または特別永住者に該当する方です。

「中長期在留者」とは、出入国管理及び難民認定法に基づき、短期滞在を除いて3か月を超えて日本に滞在する外国人で、適法に在留資格を有する方を指します。

一方、「特別永住者」とは、旧植民地出身者やその子孫など、特別な歴史的背景を持ち、特別永住者としての法的地位を有し日本に在留している外国人を指します。

「特定在留カード」を持つメリット

従来必要であった「入管で在留カードの手続をした後に、改めて市区町村に赴きマイナンバーカードの情報を更新する」といった二重の手続きが不要になります。
これは、中長期在留者が出入国在留管理局で在留資格に関する許可(更新や変更)を受けた際に、その場で特定在留カードの交付を受けることで、カードに記載されたマイナンバー情報も自動的に最新化されるためです。

さらに、外国人が日常生活の中で身分証を提示する場面においても、これまでの在留カードは日本人にはあまり馴染みがなく、本人確認書類として通用しづらいという課題がありました。これに対し、マイナンバーカードと同様のデザインを採用した「特定在留カード」によって、より一般的な身分証として認知されることが期待されます。

「特定在留カード」の取得手続き

特定在留カードの取得手続きには、以下の2通りの方法があります。

1. 在留手続き時の申請

在留期間の更新、在留資格の変更、永住許可申請などの際、許可が下りた後に地方出入国在留管理局で特定在留カードの交付申請を行い、審査官から交付を受けます。

2. 住居地届出時の申請

新たに来日した時や引っ越し、在留資格変更に伴う住居地届出時に、市区町村役場で特定在留カードの交付申請を行うことができます。
特別永住者の場合、「特定特別永住者カード」の交付申請は市区町村で行います。

手数料

特定在留カードの交付申請にかかる手数料は無料です。

手続に必要な資料

・マイナンバーカード
・在留カード(在留期間更新後のもの)

マイナンバーカードの有効期限について

外国人のマイナンバーカードの有効期限は、原則として在留カードの在留期間満了日までです。在留期間を更新し、新しい在留カードを取得した場合、マイナンバーカードの有効期限も延長手続きが必要です。在留期間満了日までにマイナンバーカードの有効期限延長手続きを行わないと、カードは失効します。

特例措置

在留期間更新許可申請中で、在留期間満了日までに新しい在留カードが発行されない場合には、マイナンバーカードの有効期限を最長2か月間延長する特例措置があります。

在留カードの有効期限

従来の在留カードの有効期限(永住者・高度専門職2号を含む)

16歳以上の外国人:在留カードの有効期限は「交付日から7年間」と定められていました。

16歳未満の外国人:原則として、「16歳の誕生日まで」が有効期限とされていました。

一体化後の特定在留カードの有効期限(永住者・高度専門職2号・特別永住者)

永住者および高度専門職2号の外国人:新制度では在留カードの有効期限が「交付日後の10回目の誕生日」まで延長されました。これにより、従来の「交付日から7年間」という有効期限が10回目の誕生日まで(最大で10年間)となり、実質的に有効期間が長くなります。

18歳未満の永住者の有効期限は、「交付日から5回目の誕生日」までと設定されました。従来の「16歳の誕生日まで」という期限から、交付日を基準とした5回目の誕生日までに変更されたため、年齢に応じて有効期限が従来よりも長くなったり、短くなったりします。

特別永住者について

特別永住者に交付される「特別永住者証明書」の有効期間は、永住者や高度専門職2号と同様に、「交付日から10回目の誕生日まで」(18歳未満の場合は5回目の誕生日まで)となります。

特定在留カード・特別永住者証明書とマイナンバーカードの一体化に伴う記載事項の変更

マイナンバーカードと在留カードの一体化に関する改正により、カード券面に記載される情報とICチップ内に記録される情報の区分が明確になります。

カードの券面(表面・裏面)に記載される情報

【特定在留カード(永住者、高度専門職2号、特別永住者等)】

券面(表面)に記載される情報:
以下の情報は、従来通りカードの表面に表示されます。

・氏名

・生年月日

・性別

・国籍または地域(国籍の属する国または地域)

・住居地

・在留資格

・在留期間の満了の日

・在留カードの番号

・有効期間の満了の日

・就労制限の有無

・資格外活動許可の有無(許可を受けている場合に記載)

券面(裏面)に記載される情報:

・マイナンバー(個人番号)

ICチップ内に記録される情報

・在留期間の詳細

・在留資格に関する許可の種類およびその年月日

・在留カードの交付年月日

これにより、これまでカードの券面に記載されていた上記の3項目は、今後はICチップのみに記録され、券面には表示されなくなります。

特別永住者証明書の変更点

特別永住者証明書の記載事項は、特定在留カードのそれとほぼ同様ですが、「特別永住者証明書の交付年月日」は、新制度では券面に表示されず、ICチップ内に記録されています。

顔写真の表示に関する変更点

現行制度では、16歳未満の者には在留カードの券面に顔写真が表示されませんが、今回の法改正により、16歳未満の者にも在留カードの券面に顔写真が表示されることになります。

イメージ画像に関する記載

本改正に関連するカードのイメージ画像は、法務省の公式ウェブサイトで確認できます。

特定在留カード

出典:法務省「改正法の概要(マイナンバーカードと在留カードの一体化)」

以下は特定在留カードに関する法務省のサイトになります。
https://www.moj.go.jp/isa/content/001420065.pdf

Q&A

Q1
法改正後、特定在留カードや新様式の在留カードに切り替える必要はありますか?

A施行前に交付された在留カードは、有効期限まで引き続き使用可能であるため、切り替えは必須ではありません。ただし、希望する場合は、有効期限前でも地方出入国在留管理局で再交付の申請が可能です。

Q2
特定在留カードを紛失した場合はどうすればよいですか?

A中長期在留者は、まず通常の在留カードの再交付申請を行い、その後に特定在留カードの交換申請を行うことで取得できます。特別永住者は、市区町村で証明書の再交付申請を行う際に、特定特別永住者証明書の交付も同時に申請できます。

Q3
特定在留カードの交付を受けた後、在留カードへ変更することはできますか?

A有効期間の更新や届出の際に特定在留カードの交付を希望しない場合、在留カードが交付されます。それ以外のタイミングでも、希望すれば再交付申請により在留カードに変更できます。特別永住者の場合も同様に、特別永住者証明書への変更が可能です。

Q4
通称名は特定在留カードに記載されますか?

A住民票に通称名が記載されている場合、特定在留カードの券面にも通称名が記載されます。
※出入国在留管理庁のホームページをもとに当行政書士事務所にて編集

まとめ

在留カードとマイナンバーカードの一体化により、外国人にとって大きなメリットが生まれます。最大の利点は手続きの簡素化です。これまでは在留資格関連の手続きは出入国在留管理局で、マイナンバー関連は市区町村で別々に行う必要がありましたが、新制度では一体化された「特定在留カード」の取得により、両方の手続きを一箇所で完了できるようになります。

カードの券面には顔写真と必要な情報が集約されており、本人確認書類としての信頼性が高まります。これにより、日常生活での利用がしやすくなります。また、カードのデザインが日本人のマイナンバーカードと統一されることで、社会的な理解が進むことが期待されます。

一枚で在留資格の証明とマイナンバー機能を兼ね備えることで、行政手続きや身分証明がよりスムーズになり、外国人の日本での生活全般において利便性が大きく向上します。