高度専門職(高度人材)から永住権取得へ
最短1年で取得する完全ロードマップ

高度外国人材制度とは

制度誕生の背景

高度外国人材とは、高い学歴や豊富な実務経験を持ち、専門性の高い技術や知識を有する外国人のことです。

日本政府は、人材不足の解消とイノベーション促進のため、2012年に「高度人材ポイント制」を導入し、2015年には新たな在留資格「高度専門職1号」および「高度専門職2号」を新設しました。

政府の狙い

・海外の最新知見と国内のトップレベル知見を融合

・IT人材をはじめとする優秀な外国人の受け入れ強化

・イノベーション創出のための多様な人材確保

しかし、OECD「Indicators of Talent Attractiveness」によれば、日本は「高学歴労働者」カテゴリーで38か国中22位と低迷しています。この状況を改善するため、高度外国人材には日本版グリーンカードとも呼ばれる優遇措置が与えられています。

高度専門職の種類とメリット・デメリット

高度専門職の3つの類型

類型 対象職種 具体例
高度専門職1号(イ) 高度学術研究活動 研究所の研究員、大学教員
高度専門職1号(ロ) 高度専門・技術活動 企業のホワイトカラー、ITエンジニア
高度専門職1号(ハ) 高度経営・管理活動 会社経営者
高度専門職2号 1号で3年以上在留した高度人材 在留期間無期限、活動制限ほぼなし

高度外国人材の7つのメリット

✅ 1. 幅広い業務に従事できる

一般的な就労ビザは特定職種に限定されますが、高度人材はさまざまな分野での仕事が可能です。
たとえば、ミュージシャンとして活動しながら音楽事務所の経営を行うことができます。

✅ 2. 最長5年の在留期間

通常の就労ビザでは1年、3年、5年のいずれかですが、高度外国人材には最長の5年が付与されます。

✅ 3. 早期の永住権申請が可能

これが最大のメリットです。永住権申請には一般的に10年以上の日本在留が必要ですが、
高度外国人材の場合:
70点以上:3年で申請可能
80点以上:1年で申請可能

✅ 4. 配偶者が自由に働ける

配偶者は就労ビザの条件を満たしていなくても、教育や技術・人文知識・国際業務などの分野で働くことが可能です。

✅ 5. 親を呼び寄せることができる

通常、外国人の親を呼び寄せるビザは存在しませんが、高度外国人材は自身または配偶者の親を呼び寄せることができます。

呼び寄せ条件:

・7歳未満の子どもの養育、または配偶者の妊娠
・介助が必要
・世帯年収800万円以上
・高度外国人材と同居
・高度外国人材またはその配偶者の親に限る

✅ 6. 家事使用人を雇用できる

外国人家事使用人を呼び寄せたり、雇用したりすることができます。

雇用条件の例:

世帯年収1,000万円以上
月額20万円以上の報酬支払い
帯同は原則1名まで(投資運用業従事者は最大2名)

✅ 7. 入国・在留手続きの審査期間短縮

高度外国人材に対する審査は優先的に早期処理されます。

入国事前審査:申請受理から10日以内を目途
在留審査:申請受理から5日以内を目途
(一般の就労ビザは通常30日~60日)

デメリットと注意点

⚠️ 1. 在留期間の更新が必要

高度専門職1号の在留期間は5年間で、更新手続きが必要です。
在留期間中、常にポイントの合計が70点以上である必要はありません。ただし、期間更新許可申請の際に70点に満たない場合、在留期間の更新許可は受けられません。

⚠️ 2. 無職期間の制限

無職の期間が6か月以上続くと、在留資格の取消対象となります。

⚠️ 3. ポイント維持の義務

常にポイントが70点以上(または80点以上)を維持する必要があります。年収減少、転職、年齢による点数変動に注意が必要です。

永住権取得の要件

高度専門職から永住権を取得するには、一般的な永住要件と高度人材特有の要件の両方を満たす必要があります。

1. 一般的な永住要件(全員必須)

① 素行が善良であること

法律を遵守し、日常生活において社会的に非難されることのない生活を営んでいる必要があります。

② 安定した収入や財産があること

年収300万円以上が目安
家族1人につきプラス70万円が必要
貯金などの資産も評価対象

③ 罰金刑または拘禁刑(懲役刑)を受けた経歴がないこと

重大な交通違反も審査に影響します。

交通違反の基準:

過去5年間で5回以上の違反
直近2年間で2回以上の違反

これらがあると永住許可取得が困難になります。

④ 税金・年金・健康保険の適切な支払い

納税、年金、公的医療保険の保険料を遅延なく適切に支払っていることが必須です。

⑤ 出国日数の制限

90日以上の連続出国がないこと
1年間で合計100日以上の出国がないこと

出張や里帰りによる長期出国は審査に悪影響を与ることがあります。

⑥ 3年または5年のビザを取得していること

短期のビザでは永住許可申請ができません。

⑦ 公衆衛生上の問題がないこと

伝染病患者や麻薬中毒者は申請できません。

⑧ 日本人または永住者の身元保証人がいること

身元保証人の確保が必須です。

⑨ 家族の資格外活動違反がないこと

家族が週28時間を超える資格外活動を行っていないことも重要です。

2. 高度人材特有の要件

高度専門職から永住権を取得するには、以下のいずれかの条件を満たす必要があります。

パターンA:70点以上の場合
要件 詳細
① 申請時点で70点以上 申請時にポイント計算で70点以上
② 3年間継続して70点以上を維持 過去3年間、常に70点以上を保持
③ 3年間継続して日本に居住 日本での在留期間が3年以上
パターンB:80点以上の場合
要件 詳細
① 申請時点で80点以上 申請時にポイント計算で80点以上
② 1年間継続して80点以上を維持 過去1年間、常に80点以上を保持
③ 1年間継続して日本に居住 日本での在留期間が1年以上

3. 「みなし高度人材」制度の活用

重要ポイント

現在の在留資格が「技術・人文知識・国際業務」や「経営・管理」であっても、ポイントが70点以上であれば**「みなし高度人材」**として永住許可申請が可能です。

高度専門職ビザへの変更は必須ではありません。申請時に「高度専門職ポイント計算表」を一緒に提出するだけで大丈夫です。

高度人材ポイントの計算方法

ポイント計算は、出入国在留管理庁が提供する「ポイント計算表」を用いて行います。ここでは、最も申請件数が多い**「高度専門職1号(ロ)」**を例に解説します。

1. 主要な獲得ポイント項目

1. 学歴

博士:30点
修士:20点
学士(大卒):10点

2. 職歴

10年以上:20点
7年以上10年未満:15点
5年以上7年未満:10点
3年以上5年未満:5点

3. 年収

年齢によって必要な年収額が異なります。

年齢 最低年収 点数
年齢に関係なく 1,000万円以上 40点
年齢に関係なく 900〜1,000万円 35点
年齢に関係なく 800〜900万円 30点
30歳未満 400〜800万円 10〜25点
30〜34歳 500〜800万円 15〜25点
35〜39歳 600〜800万円 20〜25点
4. 年齢

30歳未満:15点
30~34歳:10点
35~39歳:5点

5. 研究実績

特許や学術論文:15点

6. 国家資格

1つ保有:5点
2つ以上保有:10点
(業務独占資格または名称独占資格)

7. 特別加算(日本語能力など)

N1レベル:15点
N2レベル:10点

2. ポイント計算の具体例

ケース:30歳、修士号、職歴7年、年収1,000万円のITエンジニア
項目 詳細 ポイント
年齢 30〜34歳 10点
学歴 修士号 20点
職歴 7年以上 15点
年収 1,000万円以上 40点

→ 80点以上なので、1年で永住許可申請が可能!

3. ポイント計算の重要な注意点

「職歴」のポイント計算における注意点

❌ よくある誤解

「これまで働いてきた年数」がすべて職歴になる

✅ 正しい理解

現在日本で従事している仕事と同じ内容の実務経験のみが対象

具体的な注意事項:

1. 雇用形態の制限

正社員、契約社員、派遣社員:✅ カウント可能
パート、アルバイト:❌ カウント不可

2. 経営者の職歴

「高度専門職1号(ハ)」申請時:✅ 経営者経験をカウント可能
「高度専門職1号(イ)」「(ロ)」申請時:❌ 経営者経験はカウント不可

3. 個人事業主の場合

母国の「個人事業開業届出書」に相当する書類で証明が必要

「年収」のポイント計算における注意点

✅ 年収に含められるもの

基本給
固定残業代

❌ 年収に含められないもの

残業代(金額が未確定のため)
賞与(ボーナス)(原則として未確定のため)

⚠️ 例外措置

賞与(ボーナス)は金額が確定していませんが、会社から「収入見込み証明書」を発行してもらえれば、年収として認められます。

4. ポイント計算表のダウンロード

出入国在留管理庁の公式ポイント計算表:

日本語版:https://www.moj.go.jp/isa/content/930001673.xls

English:https://www.moj.go.jp/isa/content/001398888.xls

必要書類の完全リスト

永住許可申請には、多くの書類が必要です。以下、カテゴリー別に整理します。

1. 基本書類

No. 書類名 通数 備考
1 永住許可申請書 1通
2 写真(縦4cm × 横3cm) 1葉
3 理由書 1通 申請理由を詳しく記載
4 世帯全員の住民票 1通

2. 職業・収入証明書類

No. 書類名 通数 対象者
5 在職証明書 1通 会社勤務の場合
6 確定申告書控えのコピー 1通 自営業の場合
7 登記事項証明書 1通 自営業の場合
8 営業許可書のコピー 1通 該当者のみ

3. 税金・社会保険関係書類

住民税関係
No. 書類名 期間 備考
9a 課税(非課税)証明書 70点の場合:直近3年分、80点の場合:直近1年分 各1通
9b 納税証明書 70点の場合:直近3年分、80点の場合:直近1年分 各1通
9c 納付証明資料(会社給与から天引きでない場合) 70点の場合:直近3年分、80点の場合:直近1年分 納付が証明できる預貯金通帳のコピー または 領収証書
国税関係
No. 書類名 内容
10 所得税(国税)の納税証明書(その3) 源泉所得税、申告所得税、消費税、相続税、贈与税
年金関係
No. 書類名 期間 備考
11 ねんきん定期便 直近2年間 または、ねんきんネットの「各月の年金記録」印刷画面
国民年金保険料領収証書(会社給与から天引きでない場合) 直近2年間 国民年金の方のみ
健康保険関係
No. 書類名 備考
12 健康保険被保険者証のコピー または国民健康保険被保険者証のコピー
マイナ保険証の資格情報画面 マイナ保険証がある方(3か月以内)
資格確認証のコピー マイナ保険証がない方

注意: 令和6年12月2日から健康保険証はマイナンバーカードと一体化されました。

4. 高度専門職特有の書類

No. 書類名 通数 内容
13 高度専門職ポイント計算表 2種類 70点の場合:①申請時点、②3年前の時点
80点の場合:①申請時点、②1年前の時点
14 ポイントを証明する資料 各項目分 学歴証明書、職歴証明書、年収証明書など

5. その他の書類

No. 書類名 通数 備考
15 資産証明資料 適宜 預貯金通帳コピー または 不動産登記事項証明書
16 パスポートまたは在留資格証明書 提示のみ
17 在留カード 提示のみ
18 身元保証書 1通
19 身元保証人の運転免許証コピーなど 1通
20 了解書 1通
21 表彰状・感謝状・叙勲書など 適宜 日本への貢献を示す資料(ある場合)
22 セルフチェックシート 1通 出入国在留管理庁のウェブサイトからダウンロード

セルフチェックシート:
https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/16-4.html

審査期間を短縮する戦略

1. 現在の審査期間

2024年12月現在、永住許可申請の審査期間は以下の理由により1年以上かかると言われています。

審査長期化の理由

審査の厳格化
提出書類数の増加
コロナパンデミック以降の申請件数の増加
など

2. 審査期間短縮の鍵:「A案件」に振り分けられること

出入国在留管理庁の「入国・在留審査要領」によれば、申請案件は以下のように振り分けられます。

案件分類 内容 審査期間
A案件 許可(交付)相当の案件 最短
B案件 慎重な審査を要する案件 長期化
C案件 明らかに不許可相当の案件 不許可
D案件 資料の追完を要する案件 大幅に長期化

3. A案件に振り分けられるための3つのポイント

✅ 1. 申請者が確実に条件を満たしている

すべての要件を完璧にクリアしていることが前提です。

✅ 2. 審査官が納得する証拠資料を揃える

各項目を証明する資料を漏れなく準備
証明力の高い資料を選択(公的書類優先)
説明文書や補足資料も添付

✅ 3. 論理的な構成を組み立てる

理由書で申請理由を明確に説明
資料の整理と目次の作成
審査官が確認しやすい順序で提出

4. 「D案件(追加資料要請)」を回避する

永住許可申請では、追加資料を求められることが非常に多いと言われています。

追加資料要請のデメリット

資料提出まで審査が完全停止
追加資料によっては、審査期間が数か月単位で延長されることもあります
再審査のリスク

対策: 事前に審査官が求める資料を確実にそろえて提出することで、D案件への振り分けを回避します。

5. 実績:”5か月+2日”、および “5か月+8日”で永住許可を取得

最近、当事務所が手掛けた「技術・人文知識・国際業務ビザ」の方が「みなし高度人材」で申請した案件では、わずか5か月と2日で取得ができた方や、5か月と8日で家族全員の永住許可を取得できた方々がいらっしゃいます。

成功の要因:

必要書類以外に、有益な任意書類を準備
審査官が納得する証明資料を用意
論理的でポイントを押さえた理由書を作成

よくある質問

Q1
家族も一緒に永住許可申請することはできますか?

A「家族滞在ビザ」などを持っている家族も、要件を満たしていれば一緒に永住許可申請が可能です。

ただし、注意点があります:

ポイント80点以上による1年での申請は認められません。
家族と一緒に申請する場合は、ポイント70点以上による3年の在留期間での申請となります。

Q2
永住許可申請が不許可になった場合、再申請はいつできますか?

A不許可の場合でも、明確な改善点がある場合にはすぐに再申請が可能です。

重要なポイント:

不許可理由を正確に把握する
問題点が完全に克服されていることを証明する
再申請時には追加の証拠資料を準備する

Q3
私は「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を持っていますが、高度専門職ポイント制度を利用して永住許可申請を行う場合、高度専門職ビザに変更しなければなりませんか?

Aいいえ、変更する必要はありません。

在留資格「技術・人文知識・国際業務」であっても、ポイントが70点以上であれば**「みなし高度人材」**として永住許可申請が可能です。申請時に「高度専門職ポイント計算表」も一緒に提出してください。

Q4
私は3月生まれの29歳です。修士号を持ち、5年間ITエンジニアとして働いています。4月にベースアップで年収700万円になります。4月に永住申請はできますか?

Aできません。

理由: 4月には30歳になっているため、70点に届きません。

ポイント計算:

30歳:10点
修士号:20点
5年間勤務:10点
年収700万円:25点
合計:65点 ❌

Q5
親に赤ちゃんの面倒を見てもらうために親を呼び寄せたいのですが、高度専門職1号ビザを永住ビザに変更しても大丈夫ですか?

A永住ビザでは親を呼び寄せることはできません。
親を呼び寄せる必要がある場合は、高度専門職ビザを維持する必要があります。永住権取得は、親の呼び寄せが不要になってから検討してください。

まとめ

高度専門職(高度外国人材)制度は、日本で最も早く永住権を取得できる制度です。
通常10年以上の居住が必要なところを、最短1年で永住申請が可能になります。

🎯 高度専門職制度の5つの重要ポイント

1. 最短ルート

80点以上なら1年、70点以上なら3年で永住申請可能

2. みなし高度人材

現在のビザが高度専門職でなくても利用可能

3. 多彩な優遇措置

配偶者の就労自由、親の呼び寄せ、審査期間短縮など

4. ポイント計算が鍵

学歴・職歴・年収を中心に70点以上を目指す

5. 書類準備が成否を分ける

A案件に振り分けられれば審査期間を大幅短縮

📊 永住権取得までのロードマップ

【STEP 1】ポイント計算


70点以上? → YES → 3年ルート選択
80点以上? → YES → 1年ルート選択

【STEP 2】在留期間の確保

(3年または1年、日本に継続居住)

【STEP 3】必要書類の準備

(税金・年金・健康保険の完璧な納付記録)

【STEP 4】永住許可申請

(A案件を目指した完璧な書類作成)

【STEP 5】永住許可取得

(最短5か月での実績あり、通常1年程度)

💡 次にすべきこと

1. ポイント計算を今すぐ実施

出入国在留管理庁のポイント計算表で自分のポイントを確認

2. 不足している点数を特定

70点または80点に届かない場合、どの項目で加点できるかを検討

3. 税金・年金の納付状況を確認

過去3年分の納付記録に漏れや遅延がないかを確認

4. 専門家への相談を検討

不明点がある場合や確実に取得したい場合は、行政書士に相談

🌟 最後に

高度専門職制度は、学歴や職歴、年収が高い方にとって圧倒的に有利な制度です。特に、IT業界や研究職、経営管理に従事している方は、この制度を活用することで、他の在留資格よりも数年早く永住権を取得できます。

ぜひこの機会を活用し、日本での安定した生活基盤を築いてください。

参考リンク

出入国在留管理庁:高度人材ポイント制
https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/newimmiact_3_preferential_index.html

ポイント計算表(日本語)
https://www.moj.go.jp/isa/content/930001673.xls

Point Calculation Table (English)
https://www.moj.go.jp/isa/content/001398888.xls

永住許可申請について
https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/16-4.html