家族も一緒に永住権を取得しましょう!申請方法と注意点を徹底解説

はじめに

永住申請を行う際、家族滞在ビザで日本に暮らしている配偶者や子供も、一定の条件を満たせば、法務大臣の裁量により申請者と一緒に永住ビザを取得することが可能です。

家族全員が永住権の取得を目指す場合、特段の問題がない限り、一人ずつ個別に申請するのではなく、同時に申請することをお勧めします。
本コラムでは、家族滞在ビザを持つ外国人が、就労ビザで働く家族と共に永住権を申請する方法や注意点を分かりやすく解説します。

家族も一緒に申請できるケース

技術・人文知識・国際業務ビザなどの就労ビザを持つ外国人が永住権を申請する際、家族滞在ビザや定住ビザで暮らしている妻や子供も、一定の条件を満たすことで同時に申請できます。
また、永住者と結婚している外国人の連れ子で、現在定住者ビザを持っている場合も、母親が永住権を申請する際に一緒に申請することが可能です。

家族滞在ビザの家族と一緒に永住申請する方法

家族滞在ビザを持つ家族は、単独で永住申請を行うことはできません。そのため、家族が永住申請をするには、就労ビザを持つ申請者と一緒に申請する必要があります。これは、家族滞在ビザが就労ビザを持つ家族から扶養を受けていることを前提に認められている在留資格であるためです。ただし、同時申請は通常の永住許可申請と比較して審査がそれほど厳しくありません。
なお、家族の永住申請は、就労ビザを持つ家族の永住申請が不許可となった場合、家族の申請も不許可となります。

家族で永住申請をするメリット

夫婦で一緒に永住申請を行う場合と、就労ビザを持つ外国人だけが申請する場合のメリットとデメリットは以下の通りです。

夫婦で一緒に永住申請を行う場合

メリット

・家族全体の将来設計がしやすい

・申請手続き、必要書類の収集、理由書の作成などが一度で済ませられる

・配偶者が「家族滞在」などの資格の場合、資格変更手続きが省略できる

・行政書士に依頼する場合、費用が安くなる

デメリット

・本体者が不許可となった場合、配偶者も不許可となる

就労ビザを持つ外国人のみが申請を行う場合

メリット

・初期の申請費用が安い。

デメリット

・配偶者は一旦永住者の配偶者に変更した後、永住申請を行う必要があります。また、子供も一旦定住者に変更した後、永住申請を行わなければなりません。

以上の理由から、当行政書士事務所では、特別な理由がない限り、家族全員でまとめて永住申請を行うことをお勧めします。

家族同時申請の注意点

以下の項目は、家族まとめて永住申請を行う際に特に注意が必要です。

1.家族同時申請のリスク

家族同時申請の場合、1人でも素行要件に問題があると、家族全員にマイナスの影響をおよぼす可能性があります。素行不良の代表例として、税金未納や滞納、資格外活動許可違反などが挙げられます。

2.家族のアルバイト収入の扱い

家族滞在や留学ビザの家族のアルバイト収入は、永住許可の審査における年収には含まれません。

3.家族の法的な結婚手続き

申請者と同時に配偶者が永住許可申請を行う場合、母国と相手国での法的な結婚手続きが必要です。日本の婚姻届だけでは不十分で、母国の婚姻証明書も必要となります。

4.家族の証明書類

提出書類には配偶者の年金記録が必要であり、家族全員の健康保険の証明も求められます。

5.高度専門職の家族の永住許可

高度専門職ビザで80点以上を取得している場合、申請者本人は1年間の日本在留で永住許可を得られますが、家族は同時に永住許可を受けることができません。家族には3年の在留年数が必要です。

6.家族滞在ビザの変更手続き

申請者が永住許可を取得すると、配偶者は永住者の配偶者ビザに、子供は定住者ビザに変更する必要があります。

7.子どもの永住権申請

特別な事情がない限り、子どもはできるだけ早く家族と一緒に永住権申請をすることをお勧めします。子どもが18歳になると成人となり、自身で在留資格の申請を行う必要があります。

家族で永住申請をするための要件

申請者自身の要件

・日本に継続して10年以上在留しており、就労を開始してから5年以上が経過していること。

・現在の在留資格の期間が3年以上であること。

・過去5年間、継続して年収300万円以上であること。扶養家族が1人増えるごとに、プラス70万円が必要。

・過去5年間、住民税を遅滞なく納付していること。

・5税目の所得税を納付していること。

・過去2年間、年金および健康保険料を遅滞なく納付していること。

・日本からの出国が1回あたり90日以内であり、年間合計で100日以上出国していないこと。

・素行が善良であること(犯罪歴がない、重大な交通違反がない、軽微な交通違反を複数回起こしていない、家族がオーバーワークをしていないなど)。

・家族全員が申請者と同居していること。会社の業務命令に基づく単身赴任の場合は、その理由を理由書で説明すること。

配偶者の要件

・法律的に婚姻関係があり、婚姻の証明ができること。内縁などの事実婚の場合は配偶者として永住許可申請はできません。

・結婚してから3年以上が経過し、日本での結婚生活が1年以上あること。

・素行が善良であること。

子供の要件

・申請者の実子または特別養子であること(普通養子は該当しません)。

・日本に継続して1年以上在留していること。

・家族滞在ビザの在留期間が3年以上であること。

・素行が善良であること(子どもの場合は、当然年収や納税義務はありません)。

申請前にこれらの条件を満たしているかを確認してください。不明点がある場合は、行政書士などの専門家に相談するのも良いかもしれません。

家族で永住申請をするための必要書類

家族で永住権許可申請を行う際、申請者は通常の永住許可申請書類に加えて、婚姻証明書および出生証明書を提出する必要があります。
さらに、主な申請者の理由書には、家族で永住申請を行う理由も含める必要があります。

よくある質問

Q1
家族で永住権を申請する際、主な申請者は誰になりますか?

A家族の中で最も安定した収入を得ている人が主な申請者になります。

Q2
申請費用は家族全員分を支払う必要がありますか?

Aはい、永住権申請には一人ごとに申請料がかかりますので、家族全員分の費用をまとめて支払わなければなりません。

Q3
永住許可申請をした場合、現在持っている在留資格の更新はしなくてもよいですか?

Aいいえ。永住許可申請は他の在留資格とは異なり、在留資格の期限が切れると不法滞在になります。そのため、余裕を持って現在の在留資格の更新申請を行ってください。

Q4
申請者が永住権を取得した後に、家族が永住許可申請をすることはできますか?

Aはい。申請者が永住権を取得した後に、家族が永住許可申請をすることは可能です。しかし、特別な事情がない限り、同時に申請することをお勧めします。

Q5
永住権を取得した後に国際結婚をした場合、配偶者も永住者になれますか?

Aこの場合、配偶者は「永住者の配偶者等」の在留資格を取得します。その後、条件を満たすことで永住許可を申請することができます。

Q6
永住許可の審査期間はどれくらいですか?

A2024年12月現在、長い場合は1年4か月かかると言われています。ただし、適切な申請書類や審査官に対して説得力のある資料を揃えることで、審査期間を短縮できると担当の行政書士は考えています。実際に、12月に許可が下りた案件では、要した期間は5か月と8日でした。

まとめ

就労ビザを持つ申請者が永住申請をする際、家族滞在ビザを持つ配偶者や子どもも同時に申請できます。同時申請を行うことで手続きが簡素化され、家族全体の将来計画を立てやすくなります。

申請には、他の在留資格と同様に、条件を満たし、必要書類に不備がないことが求められます。配偶者の場合は婚姻証明書のコピー、子どもの場合は出生証明書のコピーが必要です。

一方で、家族同時申請にはリスクも伴い、一人でも素行要件に問題があると、全員に影響が及びます。
以上の点を踏まえ、家族全員の永住許可申請プランを立て、皆さんで早期永住を目指してください。不明点がある場合は、相談料がかからない行政書士の無料相談を利用してみるのも良いでしょう。当事務所では、永住申請サポートを専門に行っております。