「日本人の配偶者」ビザを持つ方が永住権取得を成功させる方法!
知らないと損する重要ポイント

目次

はじめに

「日本人の配偶者ビザ(日本人の配偶者等)」や「永住者の配偶者ビザ(永住者の配偶者等)」を持つ外国人が永住権を申請する場合、他のビザから切り替える際に比べて要件が緩和されます。
例えば、通常、永住許可申請には日本に10年間住むことが要件となりますが、配偶者ビザの場合は「結婚後3年以上経過し、日本に1年以上住むこと」で永住許可申請が可能です。
このコラムでは、配偶者ビザから永住者ビザへの変更に必要な要件や申請書類などについて解説します。

配偶者ビザから永住ビザへ変更するメリット

大きく3つのメリットがあります。

  • 1.母国の国籍を維持したまま、日本で永住することができます。
  • 2.日本人配偶者と離婚または死別した場合でも、ビザの変更は必要ありません。
  • 3.社会的信用が向上するため、住宅ローンなどの借り入れがしやすくなります。

日本人と結婚してから永住権申請までのフロー

  • Step1.在留資格「日本人の配偶者等」または「永住者の配偶者等」を取得します。
  • Step2.永住権取得に必要な要件を満たします。
  • Step3.永住許可の申請を行います。

永住権を取得するための要件

入国管理局のガイドラインによれば、日本の永住権を取得するための要件は次の3つです。

  • ①素行善良要件
  • ②独立生計要件
  • ③国益適合要件

配偶者ビザから永住権を申請する際、②独立生計要件は求められず、③国益適合要件を中心に審査されます。
具体的には、以下のすべての要件を満たす必要があります。

1.実態を伴った結婚生活が3年以上継続し(※)、加えて引き続き1年以上日本に在留(※)していること。

※「婚姻生活が3年以上継続」という意味は、必ずしも日本に3年以上住んでいる必要はありません。例えば、海外に1年10か月住み、日本に1年2か月住んでいれば問題ありません。ただし、海外だけに3年間住んでいた場合は認められません。

※「引き続き日本に在留」という意味は、引き続き日本に住み続けている状態を指します。3か月以上日本を離れた場合や、1年間のうちに合計100日以上日本を離れた場合は、「引き続き」に該当しません。

注意点:

1)結婚していても別居している場合、実態がないと判断されるリスクがあります。ただし、単身赴任などの明確な理由を説明すれば問題ありません。

2)申請資料には、結婚に至った経緯や実際の生活状況が分かる資料を含める必要があります。具体的には、結婚式の写真、夫婦そろってのパーティの写真、LINEでのやり取りの履歴などが該当します。

2.現在所有している在留資格の在留期間が3年以上であること

法律では、最長5年の在留期間が要件とされていますが、実際には3年の在留期間でも問題ありません。
また、「日本人の配偶者等」や「永住者の配偶者等」の在留資格を必ずしも有している必要はなく、他の在留資格でも要件緩和の恩恵を受けることができます。重要なのは、実際に日本人や永住者との実態のある結婚生活を送っていることです。

3.素行が善良であること

「素行が善良」とは、主に以下の3つの要件を満たしていることを意味します。

1)日本の法令に違反し、懲役・禁固・罰金の刑を受けたことがないこと

犯罪に手を染めてしまった場合は、以下の期間が過ぎるまでは永住権の申請ができません。

  • ・罰金を受けた場合 ⇒ 罰金を支払ってから5年間
  • ・執行猶予を受けた場合 ⇒ 猶予期間が満了してから5年間
  • ・懲役または禁錮の場合 ⇒ 刑務所から出所して10年間
 
2)重大な交通違反や軽微な交通違反を繰り返していないこと

「無免許運転」、「酒気帯び運転」、「50キロを超える速度違反」などの重大な交通違反の場合、罰金を支払った後、5年または10年が経過しないと永住許可申請はできません。
「駐車違反」や「信号無視」などの軽微な交通違反であっても、5年間に5回以上違反を繰り返すと、永住権の取得が難しくなります。
交通違反の状況は、警察署にある運転記録証明書で確認できます。この運転記録証明書は任意資料として申請時に添付することをお勧めします。

3)生活をする上で、違法行為や風紀を乱す行為を繰り返していないこと

4.世帯の収入が安定していること

配偶者ビザから永住権を申請する際の要件である「安定した収入」に関するポイントを以下に示します。

1) 年収は300万円以上が必要です。ただし、申請者でなくても配偶者が過去3年間にわたり継続して年収300万円以上であれば問題ありません。また、配偶者ビザからの永住権取得は、他のビザからの変更に比べて年収300万円以下でも取得できる可能性が高いとの意見もあります。

2) 年収は、家族が1人増えるごとにプラス70万円が必要です(例:4人家族の場合、300万円+(3×70万円)=510万円)。

3) 配偶者の収入とは別に、申請者の収入や資産がチェックされる場合があります。

4) 預貯金の額はあまり重要ではありません。

5) 収入が極端に低く非課税が認められている世帯の場合、国益要件に合致しないため、永住権の取得は難しいです。

5.税金・年金・健康保険を遅延なく毎月支払っていること

1) 税金に関しては、住民税と所得税の両方を納付する必要があります。必要な申請書類は以下の通りです。

  • ・住民税:3年分の課税(または非課税)証明書と納税証明書を市役所で取得します。
  • ・所得税:以下の5つの税に関する納税証明書が必要です。納税証明書(その3 未納税額のない証明用)を税務署で取得します。
  • ①源泉所得税及び復興特別所得税
  • ②申告所得税及び復興特別所得税
  • ③消費税及び地方消費税
  • ④相続税
  • ⑤贈与税

2) 税金、年金、健康保険に未納期間があったり、支払いが遅延している場合は、以下の対策を講じた上で、支払いが完了した後に申請を行います。

  • ・税金は3年間、未払いおよび遅延なく毎月支払うこと。
  • ・年金や健康保険は2年間、未払いおよび遅延なく毎月支払うこと。
  • ・未納および支払い遅延を避けるため、口座引き落としやクレジットカード払いに変更すること。
  • ・理由書には、未納や支払い遅延の理由、反省の意、および今後の対策を記載すること。

6.公衆衛生上の観点から有害となる恐れがないこと

具体的には、本人が伝染病に感染していたり、麻薬中毒であったり、近隣から苦情が寄せられるようなゴミ屋敷の状態であることが該当します。

7.身元保証人がいること

永住権申請には、身分保証書の提出が必要です。身元保証人は日本人または永住者に限られますが、日本人の配偶者の場合、通常、その配偶者が身元保証人となります。

配偶者ビザから永住許可申請をするための必要書類

以下の書類や資料を整え、管轄の入国管理局に提出してください。

本人確認に必要な書類

  • 1.永住許可申請書
  • 2.写真(縦4cm×横3cm)1枚
  • 3.日本人配偶者の戸籍謄本(全部事項証明書)(申請者が日本人の配偶者の場合)
  • 4.婚姻証明書のコピー (配偶者が外国人の場合)
  • 5.申請者を含む家族全員の住民票(同居を証明するため)
  • 6.申請者または申請者を扶養する人の職業を証明する書類
    • ・会社員の場合 ⇒ 在職証明書
    • ・自営業の場合 ⇒ 確定申告書控えのコピーおよび営業許可書のコピー(あれば)
  • 7.パスポート(申請時に提示)
  • 8.在留カード(申請時に提示)

収入や納税の証明に必要な書類

  • 9.住民税納付の証明:直近3年分の課税証明書および納税証明書(市役所で取得)
    ※自営業の場合は、確定申告書控えのコピーや営業許可証
  • 10.所得税納付の証明:直近3年分の通帳のコピー
  • 11.納税証明書 その3(①源泉所得税および復興特別所得税、②申告所得税および復興特別所得税、③消費税および地方消費税、④相続税、⑤贈与税納付の証明、税務署で取得)
  • 12.直近2年分の「ねんきん定期便」または「ねんきんネット」の各月の年金記録の印刷画面
  • 13.直近2年間の健康保険料の納付状況を証明する資料:
    • ・会社員の場合 ⇒ 健康保険証のコピー
    • ・自営業の場合 ⇒ 国民健康保険被保険者証のコピー、国民健康保険の納付証明書および領収書のコピー
    • ・会社経営者の場合 ⇒ 社会保険料納入証明書

保証人に関する書類

  • 14.身元保証書
  • 15.保証人の運転免許証のコピー

身元保証に関する書類

  • 16.了解書
  • 17.親族一覧表

要件に該当することを確認する書類

その他あればなお良い資料

  • ・家族が写っている写真
  • ・自宅の写真(玄関・リビング・寝室など)
  • ・賃貸借契約書のコピー
  • ・理由書

日本の配偶者が永住ビザを取得するには、日本人パートナーの協力が不可欠です。
また、配偶者ビザから永住申請を行う場合、必要書類に「理由書」が含まれていない点が、通常の永住申請とは異なります。

永住許可申請の審査期間

永住許可申請の審査期間は、他の在留資格と同様に、申請時期、申請先の入国管理局、および申請者の状況によって異なります。
出入国在留管理庁のホームページでは、標準処理期間は4か月とされていますが、2024年12月現在、実際の審査には約1年4か月かかると言われています。
審査期間が長期化している主な原因として、審査の厳格化、提出が求められる書類の数の増加、またコロナパンデミック以降の申請件数の増加が挙げられます。

しかし、このような状況下でも審査期間を短縮する対策は存在します。
出入国在留管理庁作成の「入国・在留審査要領」の第8編「審査体制」によれば、審査手順において案件は以下のAからDに振り分けられます。

  • – A案件:許可(交付)相当の案件
  • – B案件:慎重な審査を要する案件
  • – C案件:明らかに不許可相当の案件
  • – D案件:資料の追完を要する案件

つまり、提出した資料がA案件に振り分けられれば、審査期間は短くなると担当の行政書士は考えています。
A案件にするためには、申請者が条件を満たすことに加え、審査官が納得する証拠資料を揃え、論理的に構成を組み立てることが重要です。
実際、申請から許可まで1年以上かかると言われる昨今の状況においても、担当の行政書士が手掛けた案件では、わずか「5か月と8日」で家族全員の永住許可が下りました。

手続きの際の注意点

1.永住許可申請の審査には1年以上かかることが多いです。審査中に在留期限が切れるとオーバーステイとなります。したがって、永住許可申請中に在留期間が経過する場合は、在留期間満了日までに現在の配偶者ビザの在留期間更新許可申請を別途行う必要があります。
他の在留資格については、在留期間前に申請を行えば、その結果が出るまでに在留期間が過ぎても特例として在留期限後2か月以内は日本に留まることができます。しかし、永住権申請にはこの特例が適用されないため、注意が必要です。

2.引っ越しをした場合、住民票の変更手続きを14日以内に行う必要があります。

よくある質問

Q1
私は外国人の配偶者で、5年前に日本人と結婚し、外国で4年間過ごした後、1年前に日本に移住しました。通常の必要書類に加えて、特に準備しなければならないものはありますか?

A結婚生活を外国で4年間送り、その後日本で1年間過ごしたことを証明する必要があります。外国での生活を証明するために、生活がわかる写真を用意してください。また、日本での1年間の生活を証明するには、住民票が有効です。さらに、十分な年収があることを示すために、在職証明書、年収見込証明書、給与明細書なども提出する必要があります。

Q2
配偶者は働いているため課税されていますが、配偶者ビザを持つ私は無職で住民税は非課税です。この場合、永住許可申請は可能ですか?

Aはい、どちらかの親が課税されていれば問題ありません。

Q3
年収にアルバイトで得た収入を加えることはできますか?

Aはい、アルバイトの収入も含めることができます。

Q4
日本人の夫は55歳で、私は配偶者ビザを持つ35歳です。私たちは5年前に結婚しましたが、私の在留期間は常に1年しか更新されません。そのため、永住権申請の条件である現行の在留資格期限が3年または5年であることを満たすことができません。今後、どのような対策を講じればよいでしょうか。

A入国管理局が問題視しているのは、二人の年齢差から偽装結婚を疑っている可能性です。審査官に対して、二人の結婚が真正であることを証明する必要があります。在留資格を更新する際には、理由書でこれまでの経緯を詳細に説明し、親族が参加した結婚式や家庭での生活の様子を示す写真を添付しましょう。

Q5
日本人の配偶者と別居中ですが、永住ビザを申請できますか?

A日本人の配偶者ビザから永住ビザに切り替えるためには、実態のある結婚生活を営んでいることが求められます。別居している場合は、会社命令による単身赴任など、審査官を納得させるための十分な理由が必要です。

まとめ

配偶者ビザから永住許可を申請する場合、他の在留資格に比べて要件が緩和されています。具体的には、結婚後3年以上が経過し、日本に1年以上居住していることが申請の条件です。ただし、実際に婚姻生活を営んでいること、在留期間、素行要件など、いくつかの要件を満たす必要があります。
永住許可を得ることは容易ではありませんが、行政書士などの専門家を活用することで、永住権取得の夢を実現させましょう。