日本に住む韓国人は、技術・人文知識・国際業務などの就労ビザ、または日本人の配偶者ビザ(日本人と結婚した韓国人)や永住者の配偶者ビザから永住許可申請を行うケースが多く見受けられます。
申請者だけが永住許可申請をした場合、ご家族も家族滞在ビザから永住者の配偶者等ビザに変更しなければなりません。そのため、ご家族全員でまとめて永住許可申請をすることをお勧めします。
本コラムでは、韓国人が永住権を取得するための要件や必要書類について詳しく解説します。
韓国人が永住ビザを取得する8つのメリット
日本の永住権(永住許可)を取得すると、日本国内において永続的に居住できる権利を得られます。この権利を持つことで、在留資格の更新が不要となり、就労の自由度が増し、社会的信用が向上するなど、多くのメリットがあります。以下にその詳細を整理してまとめます。
1. 韓国籍を維持したまま、日本で安定した在留資格を得られます
2. 在留期限の更新が不要になります
永住者は在留期限がなくなるため、定期的な在留資格の更新手続きが不要になります。これにより、長期的に安定した生活が可能となります。
3. 就労の自由度が向上します
「技術・人文知識・国際業務」などの在留資格では就労できる職種が制限されていますが、永住者になることで職種の制限がなくなり、自由に転職や起業が可能になります。また、雇用先に依存する必要がなくなり、職を失っても在留資格を維持できます。
4. 住宅ローンや融資の審査が有利になります
一般的に、外国人に対する住宅ローンや融資の審査は厳しいですが、永住者になることで審査が有利になります。これは、永住者が「安定した在留資格を持つ立場」として評価され、社会的信用度が向上するためです。住宅の購入を考えている人にとって、大きなメリットとなります。
5. 家族も永住許可申請ができます
永住者の配偶者や子どもも、併せて永住許可申請ができる可能性が高いです。
6. 社会保障や医療制度を安定的に利用できます
日本の年金制度や医療保険制度を継続的に利用できるため、老後の生活も安定しやすくなります。また、仕事を辞めても、失業保険や社会保障の恩恵を受けることができます。
7. 生活の安定性が増します
死別や離婚をしても、在留資格が取り消されることはありません。
8. 日本国籍を取得するためのステップとして有利です
将来的に日本国籍を取得したい場合、永住者であることは大きなメリットとなります。ただし、韓国人の方が特別永住者の場合は、通常は永住許可申請をせずに永住権が与えられます。
「就労ビザ(技術・人文知識・国際業務)」からの永住許可申請に必要な要件
永住許可申請に求められる要件は、以下の3つです。
①素行が善良であること
②独立した生計を営むのに足りる資産または技能を有すること
③その者の永住が日本国の利益に合致すると認められること
具体的には、
・10年以上継続して日本に在留していること。ただし、この期間のうち、就労資格(在留資格「技能実習」および「特定技能1号」を除く。)または居住資格で引き続き5年以上在留している必要があります。
・在留期限が3年または5年であること
・直近5年間の年収が1回も300万円を下回ったことがないこと。扶養家族がいる場合は、一人につき+70万円を上乗せして計算します。
・所得税および、直近5年間の住民税に未納や支払い遅延がないこと
・直近2年間、年金や健康保険の未納や支払い遅延がないこと
・直近10年間に、90日以上の継続した出国、または年間100日以上日本から離れている年度がないこと
・禁固刑や罰金刑を受けていないこと
・軽微な交通違反が5年間に5回以上起こしていないこと
・家族が資格外活動許可に違反して働いていないこと
・公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこと
・日本人または永住者の身元保証人がいること
「日本人の配偶者等、永住者の配偶者等」からの永住許可申請に必要な要件
「日本人の配偶者等、永住者の配偶者等」が永住許可申請を行う場合、素行善良要件と独立生計要件が免除されます。
そのため、満たさなければならない要件は以下の通りです。
・実質的な婚姻生活が3年以上あり、そのうち1年は継続して日本に在留していること。子どもの場合は1年以上継続して日本に在留していること。
・在留期限が3年または5年であること。
・直近3年間の年収が一度も300万円を下回っていないこと。扶養家族がいる場合は、一人につき+70万円を加算して計算します。
・所得税及び直近3年間の住民税の未納や支払い遅延がないこと。
・直近2年間に年金や健康保険の未納や支払い遅延がないこと。
・直近10年間に90日以上の継続した出国、または年間100日以上日本から離れている年度がないこと。
・禁固刑や罰金刑を受けていないこと。
・軽微な交通違反が過去5年間に5回以上起こしていないこと。
・家族が資格外活動許可に違反して働いていないこと。
・公衆衛生上、有害となるおそれがないこと。
・日本人または永住者の身元保証人がいること。
※その他にも、定住者、高度専門職、みなし高度人材、難民等の場合は、以下のように在留期間の要件が緩和されています。
定住者:5年
高度専門職・みなし高度人材:80ポイント以上で1年、70ポイント以上で3年
難民:5年
永住許可申請に必要な提出書類
韓国人が永住許可申請を行う際の提出書類は以下の通りです。
・永住許可申請書
・理由書
・住民票
・在職証明書(会社員)、確定申告書控えのコピー(自営業)
・住民税の課税証明書、納税証明書
・所得税の納税証明書
・年金の納付を証明する書類
・健康保険被保険者証のコピー(会社員)、国民健康保険被保険者証のコピー(自営業)
・預貯金通帳のコピー
・パスポートと在留カード(提示のみ)
・身元保証書と身元保証人の運転免許証のコピー
・了解書
・チェックシート
・戸籍謄本(日本人と結婚している場合)
家族滞在ビザの方が永住許可申請をする場合に必要な韓国の書類
・基本証明書
・家族関係証明書
・婚姻関係証明書(未婚の場合も必要)
※これらの書類の和訳も提出します。
これらの書類を用いて、求められている要件を満たしていることを証明します。
永住許可申請の進め方
1.入国管理局や検索サイトで永住許可申請の基本要件を確認します
2.申請書類を記入し、必要書類を集めます
3.お住まいを管轄する入国管理局で申請を行います
4. その後、許可または不許可の通知が郵送されます
なお、審査期間は1年以上かかることがほとんどですので、余裕を持って準備を進めることをお勧めします。
永住許可申請中の注意点
・転職や退職によって収入や雇用状況を大きく変えない方が良いです。
・交通違反を起こさないよう、細心の注意を払います。
・引っ越しをした場合は、入国管理局にも届け出を行います。
・追加書類の提出を求められた際には、迅速に対応します。
永住許可申請後の注意点
・法律や社会のルールを遵守します。
・納税や社会保険の支払いを遅滞なく行います。
・7年ごとに在留カードの更新を行います。
・日本で生まれた韓国人の子どもは、韓国の兵役が免除されます。ただし、両親および本人が日本の永住権を取得していない場合、兵役は免除されません。
・日本で生まれ、日本で暮らしている特別永住者の韓国人の方は、永住権か帰化かの選択に悩む方が多くいらっしゃいます。それぞれ一長一短があるため、慎重に検討することが重要です。帰化を選択した場合は、韓国国籍を喪失する必要があります。
行政書士へ相談するメリット
行政書士は永住許可に関する専門知識や経験を持っていすので、不明点や不安がある場合は相談することをお勧めします。
一方、韓国人の方の中には、日本語が得意で日本での手続きに不安を感じない方も多いでしょう。このような場合には、入国管理局や検索サイトの情報をもとに、自分で申請書類を作成し、必要な資料を会社や役所から収集するのも良いでしょう。
ただし、理由書の作成に関しては、整合性があり論理的なストーリーを組み立てることが非常に重要ですので、行政書士に依頼することをお勧めします。当事務所の代表は営業経験が豊富で、審査官を納得させる理由書の作成が得意です。
まとめ
韓国人が日本で長期的に暮らすためには、永住ビザの取得が重要なステップとなります。永住権を取得すると、在留資格の更新が不要になり、職種の制限なく働けるようになります。また、住宅ローンや融資の審査が有利となり、社会的信用も向上します。これにより、キャリアの選択肢が広がり、より安定した生活を実現できるようになります。
さらに、家族と共に安心して長く暮らせる環境が整い、子どもの教育や老後の計画も立てやすくなります。日本での将来をより確かなものにするために、今こそ一歩を踏み出してみませんか?